第30章 【癒し系幼馴染】×【本当は…?】
「あの日俺も、初めて雨衣にキスしたでしょ? 確か……ここ、だったかな。」
そっと私の頬に触れる。
「…あの時の方が驚いた、かも。」
正直に答えた私に「なーんだ、」と、拗ねた様に言葉を返す。
「空までそんな事するとは思わなかったし…」
「…なんで?」
「えっ。」
なんで?だなんて、何というか…空にしては、珍しく子供みたいな質問だな。と思った。
大人しい子供が突然なんで僕には弟が居ないの?って聞くみたいな、そんな感じの。
…そんな事を言ったら、あまり怒らない空に怒られてしまいそうだけど。
「それは…その。今まで私にとって空は、突っ走る蒼依を横で優しく止める癒しみたいな存在だったから…。」
「そうなの?」
「…うん。」
「なら…それはちょっと違うかな。今も、昔も。」
「ち、違うの?」
「俺だって男なんだから。雨衣と色んな事がしたい。
いっぱい触れて、キスして。それ以上だって…。ね?」
じ、と目を見られる。空の時折見せるその表情は、
私の心を惹き付けて、離さない。
「さ、そろそろ行こっか。今日は折角のデートなんだから。」
「!うん。」