第30章 【癒し系幼馴染】×【本当は…?】
「空。ごめん、遅くなっちゃった。」
支度を済ませて急いで玄関を出る。と、空はにこにこ笑ってそこに居た。
「全然大丈夫だよ。おはよ、雨衣。」
「うん。おはよう。」
空と2人だけでこんなやり取りをするのは、いつまでたっても慣れない。
少しだけ、寂しいような、恥ずかしいような。微妙な感じ。
「ずっと3人で仲良く話す日々が続けばいいと思ってた。」
「…空?」
「ずっとずっと雨衣の事を好きで、いつも蒼依に負けてる気がして。
だからあの日、好きって伝えた。
でもそれが蒼依にも火を付けちゃったのかな。」
ごめんね。と付け足して言うけど、そうは全く思ってなさそうに見えて。
「…もー…思ってないくせに。」
「ふふ、バレた?…でも、ずっと3人で居れたらって、思ってたのは本当。」
一瞬だけ、寂しそうな表情が見えた。
でもすぐに、いつもの表情に戻ったけど。
「それより…初めて蒼依にキスされた時、どうだった?」
「…!…どうって…」
「ほら、良く◯◯の味がした。とか言うでしょ?どんな味?」
ふふ、と悪戯っぽく笑って私を揶揄う。
「な、なんとも。」
返す言葉に迷いつつも精一杯言葉を返すけど、空は不満なようで、
うーんと、首を傾げた。
「じゃあ…、これは?」
その瞬間、手を引かれ、唇同士が触れる。
「…ずるい。」
私の言葉に、空は嬉しそうに笑う。
「あの時みたいに、驚いた?」
「あの時って…?」