第29章 【俺様幼馴染】×【ヤキモチ】
「雨衣?何見てんの、」
私がテレビを見ていると、蒼依も隣に座ってテレビを見出す。
「…ドラマ。これに出てる人が格好良くて…!」
「…ふーん…。…好きなの?」
少し不機嫌そうな声。
「格好良いとは思うけど…好きでは無いかな。」
「へぇ、そう。」
その答えに、不機嫌そうだった声がいつもの調子に戻る。
それと同時に、突然の質問。
「じゃあ…俺は?」
「?格好良いんじゃない?他の子にも人気あるし。」
「そうじゃなくて、」
あ、また。不機嫌になった。
「俺の事は好きかってこと。」
そんなの、分かりきってる事なのに。
その言葉に、少しだけ笑いそうになったのは秘密。
「もちろん、好きに決まってるでしょ。」
私の言葉に、少し照れくさそうで、でもどこか満足そうな表情を浮かべた。
そんな所がたまに可愛くて好きだなぁ。なんて思ったりもして。
「もしかして…ヤキモチ?」
少しだけ、揶揄うような。そんな感じで聞く。
「そうだけど。悪いかよ。」
「…え、」
思ったよりあっさり認めるから、聞いたこっちが照れる。
「…いや、その…うん。悪くは無いんだけどさ…ちょっとだけ、可愛いなって。」
「可愛いって…お前なぁ……それより、雨衣はどうなんだよ?」
「私、?なんで?」
「ヤキモチとか…無いの。」
「…ヤキモチねぇ…」
なにかあっただろうか。思い返してみる。
「…まぁ、偶にだけど…あるよ。」
私にだって、そういう時はある。
少しだけ、モヤモヤするような感じ。
「そっか。…なんか嬉しいな。」
「…そうかも。される方は少し嬉しいかもね。」