第26章 【先輩】×【初デート】
それから着いた場所は、落ち着いた雰囲気のお店だった。
席に案内されると、メニューを渡される。
「好きなの頼んでいいよ。ここ、良く来るんだ。」
「あ、はい。」
確かに、お店に入ってすぐ先輩は優しそうなおじさんと仲良さげに話をしていた。
こんな雰囲気のお店を知っているなんて、
やっぱり先輩はすごく大人で、私には釣り合わないと思ってしまう。
メニューの中から食べたいものを頼んだ後、先輩に聞いた。
「先輩。…今日は、ちゃんと楽しめてますか?」
先輩は驚いた顔をした後、優しく私に言った。
「楽しいよ。さっきの映画もちゃんと面白かった。
…でも俺、思ったより緊張してるみたい。それに、私服姿もすごく可愛くて。」
「俺も、雨衣に似合う男になれる様、格好良い所見せられるように頑張ったんだけど…それが空回って雨衣に心配掛けちゃったかな。本当にごめんね。」
先輩の言葉に、私と一緒だったんだと少し安心した。
「蒼依先輩。」
「?」
「私も一緒です。私だって、先輩がこんな良いお店知ってるって分かって
先輩に私は釣り合わないとか思っちゃって。」
「…そっか。」
私の言葉に、先輩は優しく笑った。安心するような笑み。本当に好きだ。
「案外、似た者同士なのかもね。」
「…そうかも知れませんね。」
その言葉を聞いて、私は凄く嬉しくなった。
そしてそれと同時に、もっともっと先輩の事が好きになった。