第24章 【年上】×【待ち伏せ】
「あ、!…蒼依さん!こんばんは。」
少し前から待っていたのを、偶然を装って挨拶をする。
いつもこの時間帯は決まってここを通るから、ここに待っていれば会える気がした。
「… ああ、雨衣さんか。こんばんは。」
優しい声で、挨拶を返してくれる。
待っていたは良いものの、思ったより緊張してしまって、
何を話していいか分からず悩む。
「君はこんな時間にここで何をしていたんだい?、それに1人で…」
「…え?あ、それは…ちょっとコンビニでパンでも買おうと思って。
それに、ここ、凄く星が綺麗に見えるので…。」
ここで正直に話してしまうのは嫌われてしまいそうで少し怖い。
それに、待っている間、
近くのコンビニでパンを買っていたことと、星を見ていたのは事実だ。
ここは周りに光が無くて暗いから、星が目立ってより一層綺麗に見える。
「…成程、確かに綺麗だ。」
「でも、綺麗な女の人がこんな所で1人なんて、危ないよ?
____悪い男に、捕まってしまうかも知れないから…。」
手を掴まれ、顔が近くになる。少し恥ずかしい。
「…蒼依さん?」
「…!」
名前を呼ぶと、直ぐに手を離される。
「あの…?」
「…すまない。何でもないんだ。」
暗くて顔があまり見えないけれど、
少し悲しそうな表情をしているのが少しだけ分かった。