第23章 【高身長彼氏】×【悩み。】
「…ねぇ、蒼依。」
「ん?」
「なんで私を好きって言ってくれたの?
私より、あの人みたいな人の方が蒼依には似合ってるのに。 」
「それは……なんでだろうな。」
「なんでだろうな って…。」
微妙な答えに、少しだけ残念な感じがした。
ふと、隣で歩いていた足が止まる。
「…?…どうしたの?」
「雨衣、こっち見て。」
「?」
言われるまま、目線を下から正面に向ける。
少ししゃがんだ蒼依と目線が合って、そっと、優しく口付けをされた。
「俺は雨衣じゃないとダメなの。
だから、あの人の方が似合ってるとか、雨衣から聞きたくない。」
また、くしゃ、と頭を撫でられる。私がそれに弱いこと、知ってる癖に。
「分かった?」
「…うん。」
「それは良かった。…じゃあ、今度はあっち、見て?」
「……!」
にこ、と嬉しそうに笑って言う。
その通りにその方向を見ると、綺麗な海が広がっていた。
「海?」
「うん、ちょっと寒いけどさ、人も居なさそうだし、良いでしょ?」
「うん!」
冬の海は意外と綺麗だって、友達から聞いた事もあるし、
いつか行ってみたいと思っていた。
それに、寒くても、今は蒼依と居られるなら何でも楽しい気がした。