• テキストサイズ

色々彼氏 。【短編集】

第22章 【普通彼氏】×【プロポーズ】


好き、と伝えるのは私にとってはすごく難しい事で、

言葉にするのは滅多に出来ない。



「雨衣、ちょっと待ってよ、」

いつもいつも、歩くのが早いらしい私は
気付くと彼氏の空を置いて行ってしまっていたようで、

少し立ち止まると、空が追い付いてきた。
そして、私の横で歩きながら、一言言う。

「こういうのって、普通男が前歩くか2人一緒に歩くもんでしょ。」

良く分からなくて、首を傾げる。
「そうなの?」


「……うん。」

私の返事に、ぽつり、そう零す。
その姿を見ると、空は少し不服そうな顔をしていた。
私はこのままの感じが1番好きなんだけど。

「それにしても…急に遊園地に行くなんて、急にどうしたの?」

今日こうして歩いてるのは、
今朝突然、2人で一緒に遊園地に行かないかと電話で誘われたからだった。

誘われた時は嬉しかったし、今ももちろん楽しみなんだけど。
でも良く考えると謎だ。どうして突然?それも遊園地に?

「やっぱり気になる?」
「…うん、」

真剣な顔付きで聞かれて、正直に答える。

「それは…内緒。」

ちゃんと答えてくれると期待してたのに。

「さ。ほらほら、今日はいっぱい楽しもう?折角のデートなんだし。」
ふふ、と何かを思い出した様に1人小さく笑って、はぐらかされてしまった。

「…うーん…まぁ、それもそっか。」

確かに、折角のデートなんだから楽しまなきゃ損、だよね。

「あ!その前に、手、繋がない?」
「え、なんで。」

突然の事に驚いて、つい理由を求める。

「なんでって…また置いて行かれたくないし。それに、俺が繋ぎたいから。」
「…。」

そんな理由が少しだけ、いや、かなり嬉しくて。
少し恥ずかしさを感じながら、差し出された手を取った。


「新しく出来た所じゃなくてごめんね。」
最近大きな遊園地が出来たらしく、本当はそこに行きたかったようで。
悲しそうな顔をして、私に謝る。

「良いの。ここ、結構好きだし。」
だから大丈夫だと首を横に振る。

新しい遊園地のせいかここは人気が少なく、私からすれば過ごしやすい。
それに、私はここの雰囲気が好きだ。
/ 265ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp