第21章 【俺様】×【クリスマス】
時間も時間だし、お腹も空いたし、何か作って食べようかな。
こたつから抜け出し、立ち上がったその時、インターホンが鳴った。
「…?…はーい、」
何か頼んだかなと自分の記憶を探りながら出ると、
今日ここに来れるはずのない、蒼依が目に映った。
「…蒼依!?」
「メリークリスマス。」
驚く私を他所に、にっ、といつもの様に余裕そうな笑みを浮かべて、
私の家の中へと入ってくる。
「ま、待って!仕事は?」
「んなの、さっさと終わらせた。それより、これ、買ってきたから。」
ん。と幾つかの袋を差し出され、
中身を見ると、それぞれにお肉やらケーキやら何やらが入っていた。
「美味しそう…!良いの?」
「当たり前だろ、」
「…!ありがとう!」
蒼依が来てくれた事と、美味しそうな物達に感激しながら、
私はそれをテーブルに広げた。
「なぁ、ビックリした?」
「うん。今日は来れないって言ってたから…。」
「本当はそうだったんだけどな。…お前は、寂しかった?」
「そんな事、」 無いよ。と言おうとした瞬間、じ、と見つめられ、言葉が詰まる。
「本当は?」
「…寂しかった…です。」
2度目の質問に負け、正直に答えると蒼依は満足そうに笑った。
「雨衣。」
「?」
「こっち、見ろよ、」
その通りに蒼依を見ると、くしゃ、と少し乱暴に頭を撫でられた。
「本当は、お前にワガママ言って欲しかったんだけど。お前はすぐ無理するから。
だから、今からこの俺が雨衣の言うこと、何でも聞いてやるから…。」
「今日は、なんでも、遠慮せず俺に言えよな?
寂しい思いさせた分、今日は雨衣をいくらでも満足させてやる。」
蒼依の表情に、いつもの感じが戻ってきた気がした。
やっぱり、その余裕そうな表情が、1番似合ってるなぁ。なんて。
寂しかったクリスマスが、一瞬にして 楽しいクリスマスへと、変わって行く____