第16章 【不真面目】×【クラスメイト】
今日は特に見たいテレビとかもないし、ゆっくり歩いて帰ろうかな。
なんて考えていると、とんとん、と肩を誰かに叩かれる。
「ね、今日は俺と一緒に帰ろーよ。」
ふわり、笑って私を誘う空くん。
断る理由もなく、「うん、」と こくりと頷いた。
「…じゃ、行こっか。」
2人きり、なんだかいつもより少しだけ緊張してしまって。
「雨衣ちゃん、」
初めて名前で呼ばれて、少し照れる。
「顔、少し赤い。」
恥ずかしくなって俯くと、はは、と小さく笑う声が聞こえた。
「俺、雨衣ちゃんの事好きだよ。」
「え、は…え…?、」
驚きのあまり、変な声が出てしまって。
そう簡単に信じて、嬉しいだなんて思える訳もなく。
「もしかして信じてないの?」
「…えっと、…うん。」
なんて答えたらいいかも分からずそのまま素直に答える。
「こっち見て、」
本当は顔も赤いし、あんまり見られたくないけど…
「ほら、早く。」
でも、何だか逆らえなくて。
「ねぇ、好きだよ。雨衣ちゃん。」
近い距離で言われる。目を逸らす事も出来ず、
「…わ、私も…好き、です。」
自分の想いを伝えた。彼は嬉しそうに笑って私に言った。
「良かった。」
「これからは授業中は、寝るんじゃなくて、
雨衣ちゃんの顔をずっと見ていようかな。」
「だって授業より、全然良いでしょ?」