第16章 【不真面目】×【クラスメイト】
「…」
教科書を壁にして、すやすやと眠る隣の席の彼、
授業中にずっと起きている姿なんて、そんなに見ないし、
たまにあっても、窓の外を眺めてたり。
そんな不真面目な彼だけど、優しくてかっこよくて。
だから私は、彼を好きになった。
「空くん。おはよう。」
「あ、市倉さん、おはよ。」
私が朝、挨拶をすれば
嫌な顔一つせず、ちゃんと返してくれる。
「はぁ…。」
「市倉さん。顔、暗いよ?どうしたの、」
私が悩んでいた時は、優しく頭を撫でてくれて、
私が初めに授業中彼が寝てると知った時の、
「…ふわぁ…あ、見てた?…この事は内緒ね。」
そう言った時の彼の笑顔は、私の中で忘れる事は出来なくて。
彼には全部全部、秘密だけど。
彼を見ていると、
「ねぇ、市倉さん。」
小さく、私を呼ぶ声が聞こえる。
「そんなに見られると…俺、恥ずかしいんだけど。」
顔を上げて、静かにそう言った。
気付かれていたんだと、恥ずかしくなって私は急いで顔を逸らした。