第14章 【喧嘩ばかりの幼馴染】×【失恋】
「蒼依! やっぱり似合うよ。スーツ、珍しくカッコイイじゃん。 」
「ん。 一言余計だけどな、」
でも、はっきり分かってるんだ。
俺じゃ、雨衣は幸せに出来ない。
あの人じゃないと…幸せに出来ないから、
「雨衣~ ちょっと来てくれる~!」
「あ、はーい!ごめん蒼依。私もう行くね。後は今から忙しいから…
式場で待っててよ。」
また憂鬱な思いを乗せながら、式場であいつをただ待った。
「蒼依、ちょっと良いかな。」
それから俺は休憩所で眠っていた様で、雨衣の声で はっと目覚める。
顔を上げれば、綺麗なウェディングドレスを着た 雨衣が居た。
余りに綺麗で 似合っていて。本当はそう言いたいけど 素直じゃない俺は、
「…あんまり似合わないな。」 なんて。…相変わらず馬鹿だ。
「もー!私その言葉、一生根に持つからね?
折角彼と家族の次に見てもらおうと思ったのに。」
少しドキリとした。数えて3番目くらいだけど それでも、
見てもらおうと思ってくれてたのが嬉しくて、
それと同時に、会話から昔の事を思い出して懐かしくなったりもして。
「それじゃあ、私行くから! 式 楽しみにしててよ。 」
そう言う雨衣の後ろ姿を、送り出すように
「…ウェディングドレス。似合ってる。
あの人と お幸せに。 」
そう呟いた。
その瞬間、彼女の後ろ姿が、何だか少しだけ 笑った様にも見えた。