第9章 【ショタ】×【ヤンデレ】
今だ、なんて考える。
蒼依君が居ない今なら、足枷を外して出られるかも…?
「…外れない。」
外そうとすればするほど、当たって痛い。もしかしたらそのうち、放してもらえるかもしれない。
それにしても、こんなものどこで手に入れたのだろうか。怖くなった私は、すぐ考えるのをやめた。
「お待たせ!」
私の考えに気が付かず、蒼依くんはにこにこ笑顔で戻ってきた。
美味しそうな匂いの2枚のパンが、私を誘う。
蒼依君は、パンとリンゴも持ってきた。
「ねぇ、僕ね?リンゴの剥き方、お母さんに教えて貰ったんだ!」
「パン、食べながら見てて?」
お言葉に甘えて、パンを貰って口の中へ入れると、とっても美味しかった。
蒼依君はリンゴを剥き始める。その手は危なっかしくて、でも見ていて嬉しかった。
「…♪」
ふんふんと鼻歌を歌ってリンゴを剥いていると、手から滑って包丁を私の足へと落としてしまう。
「…い…ッ」
包丁が当たった所から真っ赤な血が流れた。
痛みを堪えながら、目の前のティッシュで押さえる。
「…お姉ちゃん、ゴメンね。」
にやり、笑った気がした。
安心しかけた心が、一瞬にして凍り付く。
「今…笑った?」
つい、言葉に出していた。