第67章 【妖怪】×【秘密のある少女】
跡があったはずのその場所を眺めていると、
君は小さな声で言った。
「…誰かに触れられると嬉しかったんだ。必要とされてるみたいで。だから色んな人と色んなことしてた。本当は私、好かれるような人間じゃないの。」
少し悲しく笑う君に、もう一度キスをする。
「俺が今まで見てきた中で、
雨衣ちゃんは1番素敵な女の子だよ。」
そう言った時、君は下を向いたから、
表情は見えなかったけれど、ありがとう。と声がした。
少し、泣いているような声だった。
「今は、もう空がいるからいいの。
昔とは違うから。」
君の言葉を聞いて、絶対に幸せにしようと心に誓った。
その瞬間、ふわっ、と暖かな風が吹いた。
きっとそれは
「好きだよ、雨衣。」
幸せを願う、祝福の風。