第65章 【大切だった貴方と。】×【再会】
「……ねえ、空?」
昔を思い出してあの頃のように話してみる。
「どうしたの?雨衣。」
返事をしたその声は、嬉しそうな声に聞こえた。
「私のこと、迎えに来てくれたの?」
「……うん。迎えに来たよ。」
思っていたことが当たって嬉しくなる。
最期だからこうして貴方が、雨衣が、
迎えに来てくれたんだと。
「嬉しいな…。やっと会えるんだね」
嬉しくて嬉しくてどうしようもなくて。
さっきよりも泣きそうになる。
きっと今の私には、空も勝てない。
「……うん。…ねえ、あの日、雨衣に好きって言ったけど、今は愛してるよ。」
その一言で、何かが切れたように涙が溢れてきた。
「……私も、愛してる。」
そっと、優しい温もりが私に触れる。
まだ姿は見れないけれど、貴方は確かにそこに居る。
「やっぱり、1人で過ごすよりも隣に空居た方が私はずっとずっと幸せになれるみたい。」
何をしていても、何か一つ足りなかった。
満たされないような。寂しい気持ち。
私の中でずっとずっと足りなかったのは、
隣で笑う空なんだと、改めて思う。
足りなかったたった1人の
貴方に迎えに来てもらえるなんて、
私はなんて幸せ者なんだろう。