第63章 【素直になれない二人】×【モヤモヤ】
「蒼依くん、!」
気に入らない、
「ん、?」
「ねぇ、今日暇かな?」
……気に入らない。
「あー……ごめん、今日用事あるからさ。」
――――気に入らない!
「あ、雨衣。」
「……なんでそんなに蒼依ってモテるの?」
言いたくないけど見てるとそう思ったのだ。
昔からいつも、蒼依の周りには恋する女の子達が集まってくる。
「は?何お前、そんな目で見てんの?俺の事。」
こんな男、どこに魅力があるんだろう?
見ているとなんだかムカつく。
ニヤニヤ笑って、バカにされてる気分だ。
「うるっさい。それよりなんで断んの?可愛いのに。本当は用事なんてないじゃん。」
「馬鹿なお前には一生分かんねーよ、」
「あーそうですか、?興味無いからいいけど。」
断ったくせに、なんでどっか少し嬉しそうなんだろう?
……ホントにむかつく。
「なんで今日そんなにイライラしてんの?」
「別に?いつもと一緒じゃん、」
そんなことない……と思いたいのに、
どうしてか、さっきからイライラしてる気がする。
「ねえ、なんでかな?」
「なんで俺がそんなこと知ってんだよ。
あ、もしかして嫉妬した?」
「そんなこと無いしっ、」
「冗談だって。そんな怒んなよ…って顔真っ赤だけど?」
こんなの絶対おかしい。なんでこんなに顔が熱いんだ。
そんな馬鹿なこと認めなくない!そんなの有り得ない。
それに認めたら、また絶対馬鹿にされるに決まってる。
「今日、外が暑いせいでしょ、」
「ふぅん?ま、良いけど。」
ああ、この時間、なんだか居心地が悪い。
教室に二人きり。こういう状況が昔から苦手だ。