第62章 【魔法使い?】×【お兄さん】
落ち込んでいる私にその人は笑顔をくれた。
暖かくて柔らかくて、自然と笑顔になれた。
まるで魔法使いのようだった。
「魔法使いさん、こんにちは!また来ちゃいました。」
「あ。雨衣ちゃん。こんにちは。」
なんの躊躇いもなく家に入ってくるような奴を、
魔法使いさんは嫌な顔一つせず笑顔で迎えてくれる。
「魔法使いさん。」
「ん?」
「私にも魔法教えてくれませんか、」
美味しそうなカフェオレを出してくれる。
「……ごめんね。本当は僕魔法とか使えないんだ。」
少し寂しそうな顔をして空さんは言う。
多分空さんは、
私に申し訳ないと思っているんだろう。
「知ってますよ。でも、魔法が使えなくても、それでも空さんは私にとっての魔法使いなんです。」
「だって、あの時の私には確かに魔法だったから。」
#空#さんは、嬉しそうに笑ってくれた。
「ありがとう、雨衣ちゃん。
魔法を教えることは出来ないけれど、
相談なら乗れるから、僕で良かったら話して欲しいな。」
悩んでることがある。なんて一言も言ってないのに
それがわかってしまうのは、どうしてだろう。