第60章 【家庭教師の先生】×【運命】
「………でも。これだけは約束して欲しい。」
勘が鋭い私は、
この甘い時間が長く続かないことが分かってしまった。
「もしもこの気持ちが知られてしまったら
俺はここには居られない。」
「だから卒業するまでもう一切手は出さない。」
先生の言う通りだった。
関係がバレてしまったら先生は辞めさせられてしまう。
そしたら多分、もう会うことは無い。
「大丈夫です。」
それくらい、片想いだった時期に比べたら余裕だ。
会えない訳でもないから辛くない。
辞めさせられてしまう方が断然嫌だ。
「それまでに他の女の人を好きになるとか、
しないでくださいよ?」
「するわけないでしょ。雨衣ちゃんこそ、同じクラスの男の子とか好きになりそうで心配だなぁ。」
「そんなの、ある訳ないです。」
ずっと先生一筋だったんだ。
他の人なんて目に映らない。
私は多分もう先生が居ないと生きていけないから。
―私の人生は、そういう運命なんだと思う。