第1章 【先輩】×【密室】
「市倉さん、鍵持ってない?」
「無いです…。」
現在、私は穴があるなら入りたい気分です。
まさか好きな先輩と、よく分からない部屋に閉じ込められるなんて。
普通の人の部屋っぽいけど、私も先輩も心当たりなんてないし…。
「そっか…どうしたらいいかな。」
「うーん…」
「不安?」
優しく微笑む先輩に、
どう対応したらいいか分からなくて混乱する。
先輩に心配を掛けるまいと、ぼそりと呟いた。
「大丈夫です。」
「でも…顔色が悪いよ?」
心配そうに私の顔を覗き込む先輩。
「そうだ、君と話をしようかな。…いい?」
気を利かせてくれた先輩に、はい!と答えると、先輩は話をしてくれた。
「君は…好きな人とか居るの?」
「え?」
先輩の突然の質問に、びっくりした。
「そっか。」
こうなったら言うしかない。
「先輩が、好きです…」
私が思い切って言うと、先輩はびっくりした後、私を壁へと寄せた。
「本当?」
軽くこくん、と頷くと先輩は私の唇の形をなぞる。
「こんな事されても…好きって言えるの…?」
そこから逃げられない様、手を壁に掛けると、ちゅっと小さく音を立てて耳たぶにキスを落として。
「ッ…。」
ちゅ、ちゅ、色々な所にキスをした後、先輩は悲しげに笑う。
「ごめんね。嫌だった?」
「先輩になら…何されても構わない。」
私が小声で言うと、今度は安心した様に微笑んだ。
そして、それと同時に_
妖しげに笑った様にも見えた。