第56章 【王子みたいなひと?】×【デレデレ】
「…じゃあさ。」
「俺の好きなところ10個言ってみてよ。」
10個…。少ないような多いような。
「かっこいい。王子様みたい。
なのに嫉妬深くて。
たまに全然王子様じゃない所も好き。
ちゃんと私を見てくれる。
浮気しないところも、
すぐ変化に気付いてくれる。
優しいところも。笑った顔とか声とか。」
10個言ったところでふと我に帰る。
何言ってんだろう、私は。
「こ、これでいいよね?」
様子を伺うと、なんだか顔が真っ赤で。
少し恥ずかしかったのに、自分より照れてるから
もうなんでも良くなった。
「そんな照れることないのに。」
ほかの女の子から言われることも多いはずだ。
「だって本当に言ってくれるとは思わないじゃん?
だから嬉しくて、」
多分、私が好きなのは
こういう所でもあるんだろうな、なんて。
言わないけれど思ったりして。
「そういう蒼依はどうなの?」
思ったことを隠すように、今度は私から聞いてみる。
「雨衣の好きなとこ?」
「うん、」
「んー…」
「全部。」
考えた後に出てきた答えはそれだけだった。
少しがっかりしたけれど、
蒼依らしい答えではあって。
「ありがと、」
なんだかちょっとだけ嬉しくもなった。
「ねぇ、」
「これからも俺だけのお姫様で居てくれる?」
真剣な顔して私に言う。
そんなの、答えは決まっている。
「…もちろんだよ。私の王子さま、」