第54章 【女子力高め彼氏】×【自信の無い彼女】
私の彼氏は、なんだか可愛い。
女の私が負けたと思うくらいに。
「どう?美味しい?」
「……うん。」
作ってみたからと差し出された
ハート型のクッキーは甘くて美味しくて。
なんというか女子力が高いというか…
あざといというか。
ほんと、女として負けてる気がする。
こんなんじゃ自信もなくなってくる。
元から自信なんて無いのに、余計に。
「私が彼女でいいの?」
ぼんやり聞いてみるけれど、面倒くさい質問だなぁ…なんて自分でも思う。
「ばーか。俺は雨衣がいいの。雨衣じゃなきゃやだ。」
少しムスッとした顔で、私を見る。
こんな時でも、どこか可愛いのが悔しくて。
「…ほんと可愛いよね。」
ぽつり零れた言葉。
いつもは他の人に可愛いって言われて喜ぶくせに。
―訳が分からない。