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色々彼氏 。【短編集】

第46章 【真面目】×【喧嘩】


訪問の音が鳴って1分もしない内に、蒼依さんは出てきた。
「昨日は、ごめんなさい。」
すぐに謝る。頭を下げてかもう一度蒼依さんを見た瞬間、

ふわりと抱き締められる。
「!」

「謝るのは俺の方だ。本当にすまなかった。」
「……良いんです。もう、」


部屋に案内され、入って行く。
シンプルな部屋で、らしいなと思う。

「恥ずかしい話だが…俺は、女性と付き合った経験が今までにあまり無くてな。
いざ付き合うとなると緊張してしまって、どう接していいのか分からなかった。」

困った顔して、私に言った。


「…何度も触れたいと思った。でも俺はそれを何度も止めた。傷付けたくなかった。…だが、それが逆に雨衣を悩ませていたなんてな。…本当に、済まな…んんっ、」

「っ…口付けをして止めるなんて、随分積極的なんだな。」
今度は、ふ、と笑う。私は蒼依さんの困った顔より、こっちの方が好きだ。

「もう良いって言ったのに。蒼依さんが何度も謝るからですよ?」
「…私が聞きたいのは、謝罪の言葉なんかじゃないですから。」


「そうだな…では、俺が幸せにしてみせる。とかか?」
「それじゃ、プロポーズみたいじゃないですか。」

「…な、!今のはその…聞かなかったことにしてくれ。」
「…む…分かりました」

本当は嬉しかったし覚えていたいけれど、仕方ない。


「そう残念そうな顔をするな。時が来たら、また改めて伝えるさ。だから今は…もっと雨衣を知りたい。そして、もっと触れたいんだ。許して貰えるだろうか?」

「…はい。もちろんです。」

嬉しそうに私の頬を撫でる。

その日から、遠かった距離がどんどん縮まっていくような、そんな気がした。
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