• テキストサイズ

色々彼氏 。【短編集】

第41章 【病気】×【悲恋】


「…はぁ…、」
私は馬鹿だ。結局こうなってしまうのなら、好きだと伝えた方が良かったのかもしれない。
そんなことを1人考えていると、携帯の音が鳴った。

「…?」
画面上には1件のメールを受信しました、と書かれていた。
表示ボタンを押し、中身を開く。

送り主は、空だった。
「会いたい」と簡単なメール。私はすぐに病院へ向かった。


「…はぁ、はぁ…、」
病室に入ると、空はいつも通りそこに居た。
私が来るとにこにこと笑って、私に手を振った。

「走って来てくれたの?ありがとう。」

椅子に座って、息を整える。
そして今度は私から、話を切り出した。

「……この間は、ごめん!私、空が好きなの。この関係が壊れるのが嫌で、本当のことを言えなかった。本当にごめんなさい。」

空は、すぐには何も言わなかった。
怖くて、顔が見れなかった。

少しして、空の声が聞こえた。

「雨衣。」
「…?」

名前を呼ばれ、顔を上げる。
空は、怒っているかもしれない。困っているかもしれない。

そう思っていたのに、空は笑っていた。

「僕も、好きだよ。雨衣が。」

その言葉か嬉しくて、でも信じられなくて。言葉が出てこない。
必死になにか言葉を返そうとして、考える。

「…ほ、んと?」

その時の私は、どんな顔をしていたのだろう。それとも、おかしな反応だっただろうか。私を見て、空は笑う。

「…ふふ、本当だよ。」


「……嬉しい。」
嬉しくて、頬が緩む。

「僕も嬉しいよ。」
私を見る目は優しくて、でもどこか悲しそうに見えた。

その悲しみを無くせればいいけれど、きっと私には出来ない。
/ 265ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp