Luce e Concerto di neve【復活】
第1章 Impostazione
いつからだろう。
この世界が赤と黒にしか見えなくなったのは。
いつからだろう。
孤独に何も感じなくなったのは。
※※※
フランスのとある海岸沿いの山奥にある片田舎。息の根を止めそうになるくらいひっそりと暮らす。電気は一部しか通っておらず基本はランプ。そんな所にガスなんてものは通るハズも無く常に焚火で火を興す。水は川か井戸。そんな田舎で村医者として平和に暮らし始めて三年。
都会の街に出るのは月に一度か二度。薬剤や医療器具の調達と言う名の闇の情報収集。一体誰がそんな名前を付けたのか"胡蝶"と呼ばれるアタシはマフィア界のお尋ね者。医者としての技術…そして殺し屋としての技術を欲しがる人はとても多い。
-ガチャ…-
「おや、今日は街に行く日かい?」
『こんにちわ、ミレイユお婆さん!ええ、新種の薬草を栽培してるので核となる薬草と肥料の調達に』
「そうかい。こんな年寄りばかりの村を助けてくれて有難うね。気を付けて行ってくるんだよ」
『はい』
この村に来てから良く面倒を見てくれる村のお婆さんに挨拶をして森の深くに入って行く。
-ヒヤリ…-
『…!』
背筋にヒヤリとしたものが伝う。でも周りには気配も何も無い。
『………』
嫌な予感がする。
さっさと街に下りて早く買い物して急いで村に戻ろう、と地を蹴って木に登り木々の枝を飛び超えて山を降りる。
※※※
コポコポと音を立てて注いだ珈琲に角砂糖を三つ溶かして牛乳を注いで自分好みの甘いカフェオレにする。トーストで焼いた厚切りの食パンに苺ジャムを塗って齧りながらテレビで今日の天気を確認して何となく付けたままのテレビのニュースを耳に聞きながらテーブルに置いてあった"並盛新聞"に手を伸ばす。
隣町の中学校との抗争。後輩や同級生の何人かが大怪我をして病院へ運ばれた話もつい最近聞いたばかりだ。当人達に聞いても詳しい事は何も話してくれない。
"続いてニュースです。フランスのー…"
何気無く聞いてたニュースに興味を持って行かれてテレビを見る。フランスの何処かの小さな街でテロがあったらしい。
『やば!学校遅刻する』
何か引っかかりを覚えつつも慌てて家を出る。
→To Be Continued.