第14章 叶わぬ思い~離れていてもあなたを愛しています~安土編②
〈安土武将達目線〉
秀吉「歌恋が500年後の未来に戻されたあの日。俺達は『お前を守るから』と言っておいて何も出来なかった。
何らかの力が上からかかり、身動き一つ取れなかった。
でも、俺達よりもっと悔しい思いをしてるのは他でも無い、『信長様』だった・・・。」
家康「誰よりも彼女を愛し、尾張の“うつけ”だの、“第六天魔王”だの恐れられていたその人は、彼女によって人間らしさを感じられる迄になり、子を宿した事や、祝言を挙げると言った時のあの表情は1人の男として輝いて見えた。」
光秀「目の前で愛する女と引き裂かれるような別れ方をし、最後に『愛しています…』そう言って歌恋は500年後の未来へと戻された。その時の歌恋の泣きながらの精一杯の笑顔は天女よりも美しいと思った。」
政宗「歌恋がいなくなってからの安土城は火が消えたような静けさで、朝餉、夕餉も習慣で広間に集まるも会話は無かった。あの日をきっかけに信長様の中の何かがすっぽり抜けたような感じだった。政務は普通通りにこなすも、ふとした時の表情は歌恋を求めているようだった。」
三成「秀吉様達も、あの日以来元気が無く、時より悔しさを言葉にしていて、信長様に至ってはどこか上の空の時も・・・。秀吉様にお仕えしてそれなりに経ちますがこんな事は初めてで、皆様がこれ程までに歌恋様をお慕いしているとは・・・勿論、私もその一人に入るのでしょう…。」
武将達はそれぞれに思いを抱え、歌恋の居ない日々を過ごしていた。