rain of fondness【黒バス/ナッシュ】
第37章 his affection to lover
吸い付き合っているのは唇同士だけではなかった。
その密着し合った肌と肌も、なまあたたかさと、なめらかさが本当に心地好い。
名無しも自分の手がぬるぬるとしてしまっていても、夢中になってナッシュにしがみつき、彼の明るい髪を指間に巻き込んだ。
視線を逸らしたがっていた時とは打って変わって、顔を見たさに長い前髪を掃い、同じく長かったナッシュの瞳は特徴的な睫毛を臨む。
キスで絡ませていた唾液も、心なしか、ローションが含まれているかのようにいやらしく糸を引いていた。
「やだ・・・!ッ・・かけちゃだめ・・」
「・・・・・」
「っ・・ひ、・・・ぁん・・いや・・!ナッシュ・・・は、ァ・・」
ナッシュは名無しのとろんとした表情に胸を打たれ、自身も赤らんだ顔になっている自覚があった。
けれど、そこで事を完結させないのが彼の持つポテンシャルだろう。
従順になった名無しをこのまま最後までただ抱くだけではつまらない。
もっと刺激を与えれば、更に根底から本能が呼び覚まされるに違いない。
そう思った、甘く啼く相手に見惚れていた男の表情は、瞬く間に不敵な笑みへと変わる。
「いや・・、は・・・ッあ・・」
密着を淡く解くと、ナッシュは名無しに、バスタブの底面に片手を付かせた。
互いに下を見れば、陰部が視界に入る様に。
そして直接、再び手にしたローションをそこへ垂らした。
「・・ハッ・・・」
名無しが困惑し、また否定的になるほど。
ボトルの中身が、殆ど空になるまで――。