【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第12章 DAY6【レイ・ブラックウェル】
「……ちっ、つまんねーの」
姿を消した謎の敵に、フェンリルが吐き捨てるように呟いた。
「大丈夫か」
駆け寄るレイにレイアは頷く。
「うん、全員無事だよ」
抱きかかえていた猫を掲げてにっこりと答えるレイアの手から、レイは猫をそっと受け取ると、そのまま優しく地面に下ろした。
「え?」
「……ったく」
そうして、レイアの顔を両手で包み込む。
「……お前の心配、してんだけど?」
「レ、レイ!」
間近に迫るレイの顔に、自然と熱がこみ上げる。
「怪我、してない?」
「……う、うん」
その答えにレイはふっと微笑む。
「レイー、相手追いかけるか?」
「いや、いい。……ありがとな、フェンリル」
「おう。じゃ、デート楽しんでくれよ!」
フェンリルはレイアの肩をぽん、と叩くと背を向けて去っていってしまった。
「レイ……」
「ん……どした?」
レイアが何かを言いかけようとしたのとほぼ同時に、おなかがグーッと鳴る。
「!!」
レイは目を見開いて、笑った。
「はいはい、腹減ったってことね」
「違うの!いや違くないんだけど、ほっとしたらつい…」
真っ赤にして言い訳をするレイアの頭をレイがそっと撫でる。
「行くか」
二人は猫たちに別れを告げ、表通りに向かっていった。
「それにしても、昼飯食ってそんなに時間経ってねーけど」
「うるさいな!だからほっとしたらゆるんじゃったの!」
じゃれ合いながら歩く二人の背中を
猫たちはごろごろしながら見守っていた。
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「レイが襲われた」
兵舎に戻り、フェンリルは他の幹部達に報告する。
「儀式の途中でちょっかい出してきたわねー」
「……意外と、低脳」
セスとルカが頷きながら答える。
「でもあの様子からいって本気じゃなかったなー」
「だろうな」
シリウスが頷く。
「アモンが全てをひっくり返すとしたらやはり幹部全員がお嬢ちゃんの能力を失った後だ。まぁ今回の奇襲は『宣戦布告』だろう。
引き続きお嬢ちゃんの警備は怠るな。ルカ、フェンリルと交代して後半の警備を頼む」
「了解」
4人はお互いの意思を確認するように頷き合い、解散する。
窓から差し込む日差しは、オレンジ色滲ませ始めていた。