【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第4章 DAY2【ヨナ・クレメンス】
「エドガー」
後ろからやってきたのはエドガーだった。
「なにやってるのさこんなところで」
エドガーはにこにこしながらこちらへやってくる。
「何って、見回りです」
「見回りなのになんで買い食いしてるんだよ」
確かにエドガーは小脇に紙袋を抱えている。それは見覚えのある菓子店のもので、エドガーは紫色のグミをつまんでいるところだった。
「ついでですよ、ついで」
「そうは見えないんだけど」
ヨナの視線はいつも通り冷ややかだ。
それに答えるエドガーの笑みもいつも通り完璧だ。
「そうですか?ちなみに二人は喧嘩の最中でしたか?」
「!!」
(エドガー、見てたのかな?!)
図星過ぎる答えにレイアはぎくりとする。
「喧嘩なんてしてないけど?!余計なお世話だよ…」
「それは大変失礼致しました……」
うやうやしく頭を下げると、エドガーはレイアの前に立ち、そっと手を取った。
(え?)
「アリス……明朝は6時きっかりに俺が迎えに行きますね」
「え?あ…」
(そっか、明日はエドガーと……)
レイアはこくりとうなづいた。
「ヨナさんのデートには到底及ばないと思いますが、俺なりに楽しい1日にできるよう心がけますから、よろしくお願いしますね」
そう言ってエドガーはレイアの手に唇を落とした。
「っ!!」
レイアよりも先にヨナが身を乗り出す。
「ちょっと何してるんだよっ!」
「挨拶のつもりでしたが…未来の旦那様の気に障ったのならすみません」
エドガーは表情一つ変えずに答える。
「では俺はこれで…」
そういってエドガーは袋から緑色のグミを出して口に放ると、その場を去っていってしまった。
「全く何なんだよ…」
ヨナはいつまでもエドガーの背中をにらんでいる。
そうこうしているうちに空は夕暮れの訪れを知らせ始める。
「もうそろそろ行かなくちゃね」
先ほどの喧嘩は解決しないまま、二人は馬車を捉まえ、月小屋へと向かったのだった。