【イケメン革命】月小屋続編◆返還の祭典【R-18】
第1章 返還の祭典、開幕す。
澄み渡る青い空。
今日も、とてもいい天気だ。
クレイドルはもうすぐ、夏を迎えようとしている。
ヨナと共に、満月のハイドパークからトンネルを抜けてここに帰ってきて、昨日でちょうど1年だった。
その記念すべき日に
ヨナとレイアは、ガーデンで「婚約式」を執り行った。
クレメンス家に代々伝わる、「結婚を約束した相手にドレスを贈る」という儀式。
ヨナは、ピンクのフリルがあしらわれた、白い上品なドレスを贈ってくれた。
クレメンス家の人たちや赤の軍、黒の軍幹部、そしてブランたちにも囲まれ、穏やかなパーティとなった。
(まるで結婚式みたい…)
そんな風に思いながら
レイアは、隣で笑うヨナの横顔を見上げて幸せな気分に浸っていたのだった。
そして今日。
レイアは身支度を整え、出かける準備をしていた。
「今日はどこかへ行くんだっけ?」
朝、寝ぼけたまなざしでシーツに包まったヨナが、起き上がって髪をとかすレイアに尋ねた。
「うん、昨日ね、ブランさんからお茶会に誘われたの。なんでも、大事な話があるって……」
「………何か、嫌な予感がするんだけど」
ヨナは眉根を寄せる。
そんなヨナの顔を見て、レイアは苦笑する。
「大丈夫だよ、ブランさんは紳士だし、昨日あんなに祝福してくれたんだから…私たちの間に水を差すようなことは絶対しないと思うよ?」
「…そういう意味じゃなくて、さ……」
くせっ毛のヨナは、寝起きの髪が更にくしゃっとなっている。
くしゃくしゃの頭のヨナは、もの言いたげにシーツの中に身体を沈めこんだ。
レイアはヨナを追いかけて勢いよくシーツを剥ぐ。
「わっ……何するんだよ!」
ヨナのきめ細かな肌…しなやかに鍛えられた体躯が露になる。
レイアは自分でシーツを剥いでおいて、そのヨナの姿にドキリとしてしまう。
その一瞬の胸の高鳴りを、ヨナは見逃さない。
「……こっちにおいでよ、レイア」
ヨナが腕を掴み一気に引っ張るので、レイアは体勢を崩してヨナの上に覆いかぶさる。
「きゃ……っ」
「……おはようのキスがまだだよ」
琥珀色の瞳は、今日も少し意地悪に光っていた。