• テキストサイズ

イケメン戦国 ー とおまわり ー

第20章 動く2



日のあるうちに安土の土を踏むと、急ぎ城門をくぐる。城内はいつもと変わらず、それぞれが決まった仕事をこなしており、ことねが拐かされた事など微塵も感じることはなかった。
声を掛けてくる者の様子も変わらず、いつものように返事を返す。状況を飲み込みながら天守へ向け歩みを進めると、また声が掛かる。


「おかえりなさいませ、光秀様」

「ほう、お前が出迎えとはな、三成」

「御案内するためにお待ちしておりました」


微笑みながら話す三成の瞳は、いつもの柔らかい表情の中に一瞬鋭い光を放って見せた。やはり、ことねも拐かされたことに間違いはないのだろ。


「案内だと?」

「はい。これから献上品が運ばれてきますので、天守ではなく奥座敷にて皆様お集まりです」

「こんな時に献上品とは、余程大事な品なのだろうな」

「はい、いろは屋から珍しいものが届くそうです」

「そうか」

「はい」


互いに目を合わせ、頷き歩きだす。人払いがしてあるらしく、そこからは誰にも会うことはなかった。歩きながら状況を話す為に三成が寄越されたのだろう。それほど時が惜しいということなのか。


/ 382ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp