第2章 気づき
光秀「くっくっ………なんだかんだ言っても、吉右衛門も父親だな。」
ひいろ「すみません、光秀様。これだから困るんです。大番頭さんまで………。ふふふっ。」
二人で顔を見合わせ笑い合う。
そう言って笑うひいろは、先程までとは違いやさしい眼になっていた。
光秀「お前もそういう眼をするんだな。」
ひいろ「!?なんですか突然。」
光秀「いや、何でもない。戯れごとだ。」
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その後、「邪魔されず絵に集中したい」というひいろの願いを受けて、絵を描く場所が俺の御殿になった。
心配した吉右衛門は、必ずひいろが一人にならないよう、送り迎えに番頭を付き添わせた。ただ、番頭も仕事がある。ひいろの絵も時間通りに終えられるわけではない。
何度かひいろが御殿にくるうちに、いつの間にか帰りは俺が送ることになっていた。