第1章 はじまり
そして、場がお開きになる頃、御館様の周りから人が離れたことを確認し、預かってきた荷物と一緒に金米糖を渡す。
信長 「吉右衛門の所のは、上物だからな。」
眼を細め、嬉しそうに口元を緩ませる。
光秀 「(薄く笑い)秀吉に見つからないよう、お気をつけください。」
一礼し、立ち上がろうとする俺に、御館様の声がかかる。
信長 「光秀。吉右衛門のところは、面白いぞ。せいぜい楽しむがよい。」
光秀 「……?………はい。」
御館様は、何かを暗示するような笑みを浮かべ、俺を天守から送り出した。
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他に誰も居なくなった天守で、信長が独り金米糖を口に運ぶ。
信長 「さて、どう動くか………高みの見物だな……」
口元だけに微かな笑みを浮かべ、また1つ金米糖を口に運んだ。