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【YOI・男主人公】小話集【短編オムニバス】

第2章 僕とおそロシア


『リンク独占?2人のユーリ』


ロシアGPSのSP終了後。
「年寄りが無理してねぇで、ホテル帰って寝てろ!」
ギックリ腰になったヤコフに、ユーリはぶっきらぼうながらも安静にするよう促す。
「お前に心配される日が来ようとはな。FSには代理のコーチを寄越すよう、手配した」
「別に俺1人でも大丈夫なのに…まさか、代わりってヴィクトルじゃねぇだろうな?」
「奴の指導はお前と相性最悪だ。だが、ある意味ヴィーチャよりもお前について熟知している人物だ…来たか。すまなかったな、急に呼び出して」
「いえ。…『ユリオ』、臨時とはいえ今から僕は君のコーチになる。まずは、このまま首位をキープして優勝を目指そう」
「ぇ、え…ええぇっ!?」
ヤコフに呼ばれた男の正体に、ユーリは絶叫を放った。

ユーリの臨時コーチとして現れた勇利の姿に、会場のあちこちから感嘆と黄色い声が上がっていた。
「ああ、いいなあ!勝生さんいいなあ!」
同じ試合に参加していた礼之が、羨ましそうにリンクサイドの2人を眺める。
「勇利、最近ロシアでコーチの資格取ったもんなあ。頑張ってあっちの大学にも通ってたし。礼之くん、試合中に余計な私情は禁物やで」
「大丈夫です、ある意味これは僕とユリ&勝生さんとの闘いです。燃えます!」
拳を握りながら青い瞳を輝かせている『サムライ』に、純は安堵の息を吐いた。
妙な気恥ずかしさと隠し切れない感情に、ユーリはリンク前で懸命に気持ちを静めようとする。
「いつもの勝ち気な君はどうしたの?さっき言った事さえ気を付ければ、大丈夫だよ」
「あのな、俺ももうガキじゃねぇんだ」
「そう。でも、僕の知ってるユリオは、どんな時でもふてぶてしかったけど。たった4分ちょっとも耐えられない?」
「カツ丼の分際で煽ってきやがるじゃねぇか…いいぜ、お前のコーチデビュー、優勝で飾ってやるから楽しみにしてろ!」
練習時にされた勇利からのアドバイスを脳裏で反芻しながら、ユーリはリンクに飛び出した。

文句なしの演技で優勝を決めたユーリは、勇利のハグに迎えられたが、直後顔を真赤にさせた後で、遠慮がちに彼の背に両手を添えた。
「ああ、いいなあ!ユリ、いいなあ!」
「今度はそっちなん?」
「だって、勝生さんからのハグとか超レア級ですよ!?」
そう力説する礼之に、純は苦笑した。
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