第1章 海常高校男子バスケットボール部密着取材
「あれー?浅倉っちじゃないっスか?何してるんスか?」
「…涼太。」
「珍しい組み合わせっスね。」
硬着状態の中現れた黄瀬は新聞部の女子と仲良さげに話すのは流石と言った所か。
「今日から男子バスケ部の密着取材する事になったの。」
「え?マジ!?じゃあ、部活の時も一緒にいれるんスね!」
「うん…まあ、そうだね。」
「なんスか、その微妙なリアクションは。もうちょっと喜んでくれてもいいんじゃないっスか!?」
「教室でも涼太五月蝿いのに、放課後まで涼太と一緒なんて正直しんどい。」
「辛辣!」
「なんだ黄瀬。浅倉…と仲良いのか?」
「あ、はい!浅倉っちとは同じクラスで仲良いんスよ!」
そう言って嬉しそうに浅倉の肩に手を回す黄瀬。そんな黄瀬とは対照的に浅倉は怪訝そうな表情。黄瀬が女子にこんな風な対応も取られる事もあんだな。綺麗な顔立ちに、モデルという職業もあって、腹立たしいが、普段女子にキャーキャー言われている黄瀬を見ているから、浅倉の黄瀬に対する対応はなんだか新鮮だった。
「浅倉っち!バンバン俺に取材していいっスからね!」
「…しない。今回のメインはキャプテンの笠松先輩だから。」
その言葉に少しだけ解れていた緊張が再び俺を襲った。
「いやー無理じゃないっスかね?笠松先輩、女の子苦手らしいっスから。」
「そうなの?」
悔しいが、黄瀬の言う通り、女子が極端に苦手で、返す言葉もない。