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血染櫻【文豪ストレイドッグス】

第2章 愛を知らない少女


「お、お前……っ」

 誰だろう、と声の主を振り返り、あたしは思い出す。
 あぁ、まだ人がいたのだったか。

「お前、異能力者だったのか‼」

 イノウリョクシャ?

 何のことだと聞きたかったが、呆然としていた顔に傷のある男が部下に「とっとと撃ち殺せ!」と命じた。
 一斉に向けられた銃口に、あたしは一瞬だけ怯む。
 でも、それは本当に一瞬のことで。
 あたしは自身の血液を操って、十丁の銃を切り裂いた。
 バラバラになった銃に息を呑ませる間も与えることなく、あたしは侵入者である顔に傷のある男の部下を纏めて殺す。
 何だろう、この気持ちは。
 解放感と虚無感。
 高揚しているのに、どこか虚しい。
 そんな、複雑な感情。

「ま、待て……待ってくれ……」

 そして、顔に傷のある男はナイフで襲い掛かってきた。
 あたしは――……。
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