第24章 彼が『彼女』を求めるのは
詞織の規則正しい寝息が聞こえてきて、私は小さく笑った。
やはり、まだまだ子どもだね。
私の前で、こんな無防備な姿を見せるなんて。
何をされても知らないよ?
私は詞織に覆い被さり、その顔の横に両手をついた。
その滑らかな頬に触れ、自分の頬をすり寄せる。
「ん……」
微かに吐息を漏らした彼女が可愛くて、私はその唇を奪った。
組合との戦い、そして、そこにマフィアが参戦することが確実なこの状況の中で、こんなことをしている場合ではないけれど。
仕方ないよね? 可愛すぎる詞織が悪いのだよ。
「さて、どうしてしまおうかな?」
彼女が何を悩んでいるのか知っている。
強くなりたい。
それは、自分にはそれ以外に取り柄がないと思い込んでいるからだ。
その不安を取り除く言葉を私は持っているけど。
まだ、言わなくていいよね?
だって、私のことで頭をいっぱいにして悩んでいる詞織が可愛いのだもの。
「もっと、私のことで悩んで、頭をいっぱいにしなよ」
誰のことを考える隙もないくらいに。
そんなことを考えていると、慌ただしい音が廊下から聞こえた。