第22章 リベンジ
『わーーっ!!』
会場に入った瞬間に響く歓声。
「おぉっ!出てきたぞ誠凛と秀徳!」
「決勝リーグ、再注目カードだ!」
私はスポドリやタオルを用意していた。
「火神君。」
「…?」
「入場の時、緑間君の顔見ましたか?」
「!…あぁ、前とはまるで別人だった。」
「今まで戦ったキセキの世代は、無敗うえにどこかスマートさが残っていた。価値ある敗戦とか、負けて強くなるとか言う時があるが、どういう意味かわかるか?」
木吉が火神に話しかけた。
「!…」
「本来生物にとって、勝利は生、敗北は死を意味する。例えとしては極端だが、事実人間の本質にもそれは残っている。敗北の恐怖を知った人間は、勝利へ、餓える。」
「…!」
私は緑間の方を見た。
「…」(まるで…餓えた獣のよう…。)
殺気立っているような…そんな感じだった。
「こっぴどく負けたことがあるのは、向こうだけじゃねぇだろ。」
日向がベンチから立ち上がると、皆立ち上がった。
「あぁ、そうだな…!」
「負けるのなんざ、1度でたくさんだ。腹ペコなのは。」
「こっちも一緒です。」
「!…」(カッコイイ…。)
『わーーっ!!』
皆がコートに入っていった。黒子と高尾が何かを話していた。
「思ったとおり、油断なんて微塵もないわね。借りに、秀徳の戦型が前回と同じなら、勝つための必須条件は、やはり緑間君の攻略よ。」
『…』
「そして、彼の長距離3Pには、十中八九弾数に限界がある。」
「え?」
「…あれだけの距離を、まず届かせるだけにも、全身の力をボールに乗せる必要があるわ。さらに、前の試合を見返したら、打つたびにほんのわずかずつだけど、溜めが長くなっていた。」