第16章 実力
ビーーッ!!
『うおおおっ!!』
「すげぇ!」
「凄い!」
「あの位置からゴールを決めた!」
強引を通り越してめちゃくちゃだった。
そしてまた始まったエース対決。
「おぉっ!ゴールと全然違う方へ、跳んだ!」
「!?…」
青峰はボールを投げるようにして打った。
「なんだ、今のシュート…。」
「ジャンプシュートじゃなくて、フック…!」
「フッ…。」
*
緑間が話した。
「バスケットに限らず、どんなスポーツでも、その歴史の中で洗練されてきた基本の動きがあり、理想のフォームがあるのだよ。洗練され、無駄がなくなったからこそ、選択肢は限られ、逆に予測も成り立つ。そこに、オフェンスディフェンスの駆け引きが生まれる。それがゲームだ。」
日向が打とうとしたシュートを若松が止めた。
「だが…アイツは…。」
緑間が青峰を見て言った。
「ドリブルもシュートも、青峰の動きに型はない。無限。ゆえにディフェンス不可能。アンストッパブルスコアラー。それが、キセキの世代のエース、青峰大輝。」
*
「っ…。」
中学の頃…いや、もしくは物心つく頃からだったかもしれない。彼は自由なスタイルでプレイしていた。ストリート、基本……彼はそんなものを全て自由に操れるかのように、バスケをプレイしていた。
「アンストッパブルスコアラー。」
「え?」
きっと、緑間も同じことを考えているだろう。と、ふと思い、私は口にした。