第13章 道のり
「…」(…先取点を取った方が…取る…。)
心の中で私はそう思っていた。多分、会場にいるバスケ選手達もそう思っているだろう。
すると、高尾にボールが渡った。パスを出さないかと思いきや、緑間にパスを出した。
「!…」
ゾクッ…と鳥肌がたった。
「っ…。」
ギュッ…と目をつぶってしまった。
緑間も…変わってしまってから、シュートを外すなんてことはなくなった。フォームを崩されない限り…。
だから…否定したかったのだと思う。
「おぉーっ!きたスリー!!」
歓声があがった。
「なんつーシュートだ!」
「先制点は、秀徳だ!」
「…」(まだ……まだ…終わったわけじゃない…のに…。信じろって言われたのに……。)
こんなにも……不安になってしまうのはなぜだろう…。
抱きしめるように持っていたクリップボードに強く力を入れた。
「っ…!」(お願い…持っていかれないで…流れを…!)
すると、床で跳ねていたボールを持ち、黒子がコートの端から端までパスを出した。
『!…』
それには皆も…緑間も驚いていた。緑間の顔の横を通った。そして火神がそのパスを取り、ダンクを決めた。
『!…』
「や…やった!!」
「なっ…!?」
「なんなんだよ…今の…。」
「コートの端から端までぶった切ったぞ?」