第9章 戦車
カズくんがお兄さんを殺した…?
それって…
どういうこと…?
落ち付きを取り戻したカズくんが話してくれた過去
それは
耳を塞ぎたくなる程に辛く
やり場の無い怒りと悲しみは
ただ一緒に泣く事でしか消化できなくて
ねぇ
どうしたら君を救える?
どうしたら
君の笑顔を取り戻せる…?
「ごめん、こんな話…」
「カズくん…」
「ホントは誰かに聞いて欲しかったのかもしれない…
ううん、“誰か”じゃなくて…
信じてみたい、って思える人に…聞いて欲しかったんだ…」
「よく頑張ったね…10年も…
一人で苦しんで…」
もしも君が深い闇の底で怯えてるなら
「もう、一人じゃないからね
俺が居るから…」
ギリシャ神話のナイトのように
銀のソードで闇を切り裂いてあげるよ
もしも君が望むなら
「俺が…、」
俺がその手を強く引いてあげる