第7章 月
「もうさ、諦めたら?」
そんな簡単に言わないでよ
「まーも頑な過ぎだし
その、カズだっけ? ソイツにも売り専のプライドってモンがあるだろうよ」
俺の言動がカズくんを傷付けたのなら
きちんと謝りたい
「キス位、今時幼稚園児だってしてるっつーの」
呆れる潤に返す言葉も無い
分かってるよ。古臭い考えだって
幻想を抱き過ぎだって
「まさか元カノともしてない、とか?」
「それは…した、けど、」
彼女が俺の事を好きになってくれたと思ったから
想い合えてるって信じてたから
でもホントは元カレの事が忘れられないんだって気付いてからは
カズくんにしたみたいに…逸した事もあった
「ここまで来ると純情を通り越して病的だな
まさかお前、童貞じゃねーよな?」
「…違う、けど、」
俺にだって
ちゃんと想い合えてた彼女は居た
高校の時に一人
専門の時に一人
その二人だけだけど…
「ねぇ、潤
俺、カズくんに嫌われちゃったかな…?」
「嫌われたっつーか
呆れられたんじゃねーの?」
呆れられた…
そうだよね
このままもう、カズくんには会わない方がいいのかもしれない
そう思うのに
カズくんと会えなくなる。
そう思うと
胸が苦しくなる