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デリバリー【気象系BL】

第6章 塔








「おっ。ちゃんと全額貰ってきたじゃん。
偉い偉い」


アンタが貰って来いって言ったんだろ

ソファーに座り、煙草に火を点けた


「随分とご機嫌ナナメだね?
新規君と何かあった?
あー、二度目だからリピーター君か」

「別になんもないし…
それと三度目は無いよ」

「ふーん、そう?」


そう
そうだよ

俺と相葉さんの間には何も無い
今までも、これからも… 何も。


催促してもないのに返して寄越された封筒には
また…裏にフルネームが書いてあった
最初は俺への自己アピールか何かだと思ったけど違ったんだね
そんなモノ大事に取っておく俺も俺だけどさ…


「じゃ、俺、帰ります」

「おー。お疲れさん」


だから疲れてなんかないっての。
…2時間寝られたからね
ホント、ラッキーだよ
ラッキーだよ…





ビルの裏口から外に出ると
スマホのマナーモードの解除はせずに
家に向かって真っ直ぐに歩き出した

どうせ山のように残っているであろう着信履歴もメールも
今は見たくない
母さんの声も、聞きたくない




『カズくん…』




脳内に切なく響く、俺の名前を呼ぶ声を
貴方の声を

今は忘れたくない
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