第6章 塔
目隠しで奪われた視界
銀の手錠で繋がれた両手
「まだ出るだろ?
ほら、空っぽにしちゃいな」
「あっ…ぁぁ! …っ、イクっ…!」
何度イカせりゃ気が済むんだ
俺には次があるんだよ
それでも
ザラついた舌で執拗にそこを嬲られ擦られ続け
黒色の極太バイブを奥の奥まで埋め込まれれば
完全に勃ち上がった俺のモノからは最後の一滴までが搾り取られた
「はぁっ… はぁっ…」
何でもない日なら特に問題ないけど
よりによって今日は勘弁して欲しかったよ
「やっぱりカズが一番だよ」
そう耳元で囁きながらアイマスクを外され、俺の視界がクリアになると
汗一つかいていないキレイな顔のその人が
真っ直ぐな瞳で俺を見つめていた
「佐伯さん…、」
汗と体液でグチャグチャの身体が気持ち悪い
「苛めてごめんな…?」
俺をそっと抱きしめるこの人からは
行為の途中で時折見え隠れする苛立ちにも似た感情はもう、消えていた
「…なんで俺はダメなんだろうね」
抱き抱えられてシャワーを浴びながら囁かれた言葉に
閉じていた瞼を開いて彼の目を見つめた
「佐伯さんはダメなんかじゃないよ…」
本当は指一本動かすのも億劫だけど
首に手を回して引き寄せる
「ダメなんかじゃない」
ヘタな言葉は言わないでおこう
俺に出来るのは
貴方の中に渦巻く怒りと哀しみを受け止める事だけ