第1章 吊るされた男
「…ブフォッ!」
「ちょっと、潤! 大丈夫?!」
「オメーが変な事聞くからだろうがっ!」
翌日
昼休憩で賄いを食べながら
同僚の潤にそれとなく聞いてみたんだ
『ぶっちゃけ風俗とかデリヘルとかってどうなの?』って
…だって、
あれから色々考えて
翔ちゃんが言うならそうなのかなって
忘れられるのかなって
思っちゃったんだもん…
「どうもこうもねぇよ
別に、普通?
あっちも仕事でシてんだし
こっちも金払ってんだしさ」
「なんかシビアな世界だね…」
「なんだそれ(笑)
で? まーはなんでまたそんな事いきなり言い始めた訳?」
…そうだった
潤には何も言ってなかった
長年片想いしてた人がいた事
その人と付き合った事
プラトニックなまま一ヶ月でフラれた事
その翌日に…運命の一目惚れをした事。
「そりゃまた…
んで、その一目惚れの相手を忘れたいってのはなんで?」
「なんで、って…
もう会えないし、このまま恋焦がれてても辛いだけだし…」
夢にまで出てきたんだ
あの子の姿が
「だから風俗?」
「うん、」
「よくわかんねーけど
ま、社会勉強にもなるしいいんじゃねーの?
なんならイイトコ教えるよ
ちょっと特殊だけど」
潤がニヤリと笑う
その不敵な笑み、めっちゃ怖いんですけど…