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デリバリー【気象系BL】

第11章 恋人


痛みを分け合うように、カズくんの小さな身体を抱きしめながら
暫く沈黙の時が続いた


「ん…?どうした…?」


腕の中のカズくんがゴソゴソと動く


「ううん…」

「なんでも言っていいんだよ、俺には」


少し言いづらそうに目を反らすから
顔を覗き込んで笑いかけた


「あと少しで…今日が終わっちゃうなと思って…」

「帰らなきゃなの?」

「そうじゃなくて…」


まだ俺には完全に心を開けないんだろうか


「………日、」

「えっ?」

「…誕生日なんだ、今日」

「そうなの!? そういう事は早く言わないと!」

「わっ…!」


急いでソファーから立ち上がり、バタバタとキッチンに向かう
この間作ったガトーショコラの残りがまだ冷凍庫にあるはず…


「あった!」

「何? どうしたの?」

「コレ!
誕生日と言ったらケーキでしょ?
食べかけでごめんだけど…」


保存ケースに入ったケーキを見せると
カズくんは目を丸くして、


「ウソ… ホントに…? いいの…?」


子供みたいにキラキラした瞳でケーキをじっと見つめて


「ありがとう、まーくん…!」


そして天使のように微笑った




「誕生日おめでとう、カズくん。
生まれて来てくれてありがとう」




時計の針が
ちょうど12時を指した
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