第1章 はじまり
別に怪我をしたというわけではない
私は一つのお願いをしに
ここに来たのだ
勢いよく扉を開け
中にいる妙齢ヒロインに声を掛ける
『あの!』
その声にゆっくりと振り向くリカバリーガール
視線の先の見かけない子に
新入生かと自然と思考を巡らしていた
『私っ神奈って言います。
ここには貴女に教わるために来ました』
初めての出来事にさすがのリカバリーガールも返事に困る
『私の個性も「治癒」のようなものですが、副作用もありまだまだ使いこなせていません。』
「ほー」
『放課後、貴女の助手として働かせてくれませんか?』
リカバリーガールは彼女の真っ直ぐな視線に
ノーとは言えなかった
「…うーん、いいよ。ただし、まずお前さんの個性を直接見せてはくれないかい?」
『!!っはい!』
第一関門が突破出来た事に一安心し、個性をどうやって今見せるか考えていたら
「一番奥のベッドに寝ている子がいるんだけど、その子ちょっと個性を使い過ぎたみたいで、反動で手が痺れてる状態なのさ。」
『なるほど』
「ヒーロー科の子なんだけど、この後確か個性把握テストするらしいから、元に戻してあげてくれないかい?」
『分かりました!』
そう意気込んでカーテンを開けると
なんとも悪そうなツラをした
ヒーロー科とは思えない人が
こちらを睨んでいた