第9章 再会
「お、落ち着いて凪山さん!」
『降ろせって言ってんでしょ…!!!離しなさい!!!!』
「っ……!!」
涙を孕ませ悲痛に叫ぶ
「ダメだよ!無理に決まってる!!」
「落ちたら怪我じゃ済まねえぞ!!」
『うるさい!!!いいから離してよ!!!』
緑谷の言葉も、切島の言葉も、今の彼女には届かない
「チッ」短い舌打ちと共に、爆豪は腕の力を強める
遠ざかる翔の姿に、瞳に溜まった大粒の涙が風に煽られ落ちていく
涙の行方を目で追うと、その先に横たわる彼が、力なくこちらを見ていた
「 」
遠くて聞こえなかったけど、確かに彼は――
翔は、笑っていた
『翔---ッ!!!』
最後の力を振り絞って暴れる彼女に、爆豪が手刀を入れ気絶させる
『かハッ――…』
力なく倒れる神奈を、落とすまいと抱え直す
「……悪ィ」
小さく零されたその言葉は、彼女の耳には届かない