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【ヒロアカ】世も縋ら

第3章 命令





結局あの後、一言も話す事なく

私の方が先に
最寄りの駅に着き
じゃあ、と素っ気ない言葉を残していった




駅を出たら簡素な商店街が軒を連ねているが
その一部はデパートの波に押され
テナント募集中の看板だけが
寂しく貼られている

そんな廃れ始めた商店街で
一番リーズナブルな夕食
コロッケを2つ買って
更に進み

信号を1つ越えたすぐ側に

比較的綺麗なマンションが数軒
連立している

そしてその一番右端に建つ3階建てレンガ造りのマンションに
堂々と足を踏み入れ
まだ慣れない螺旋階段を
少し目を回しながら登って行く

最上階、東の角部屋

そこが私の帰る場所だ





雄英高校に入ると決めてから頑張ったことは2つあった



1つは勿論、勉学だ

努力せずとも入れるような天才的な脳は
残念ながら持ち合わせてはおらず、
だからといって諦められるほど
私は素直でもなかったのだ

とにかく、中学3年の夏からは
ただひたすら、目もくれず勉強をしていた




そしてもう1つだが



それは下宿することへの

両親の説得だった


一人っ子だという事も相まって
私の両親は過保護に拍車が掛かっていた

一人暮らしなんて危ないと
雄英に受かった後も散々言われた


いや、これが凄く有り難いことなのは分かっている
分かっているけど

どうしても私は
ここでやりたい事があったから

両親の思いを無下にしても

私が譲ることはなかった



結局、許可が出たのは2月の終わりかけで
その頃には既に
近くのマンションは
どこも埋まっている状態だった


その結果、こんな少し離れた所で暮らすこととなったのだ
まあ、ここは仮住まいとして、
学校付近で良いマンションが見つかれば
そちらに移動しようと思っている

だって交通費も
バカにならないからね


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