第18章 すれ違う心と縮まらない距離
「待って、博臣っ!」
そう叫びながらアッキーに呼び止められた俺は保健室に向かおうとしている足を止めてアッキーを振り返る。
「何だ。早く保健室に……」
「保健室に行く前に確認しておきたいことがあるんだ」
そんなアッキーの言葉に少しイラつきつつ俺は言った。
「……急いでるんだから手短にしろよ?」
そう言いながら俺はアッキーの方に身体を向けアッキーの目を見る。
すると、アッキーは静かに口を開き言った。
「なぁ、博臣。春野さんに勝ち目はあるのか?」
「……いきなり何の話だ、アッキー」
「春野さんが博臣の彼女になれるのかどうか、って話だ」
(華菜が俺の彼女になれるか……? 一体どういう意味だ。それに、華菜に勝ち目はあるのかってなんだ?)
アッキー、お前は一体何の話を……
「お前は美月と春野さん、どっちが好きなんだ。 春野さんが美月と比べられた時、彼女は美月に勝てるのか?」
(そういう事か……)
「俺と美月は兄妹なだけだ。 それ以上でもそれ以下でもない」
「だけど、博臣の美月への接し方は周りから見れば異常なほどだ。 だから、春野さんは……!」
(……)
「……お前の言い分はわかった。 俺は保健室に行く」
そう言い残し俺は保健室に急いだーー……。