第17章 心に切ない気持ちが溢れて……
博臣先輩が保健室を去った後、自分でも突然の涙に驚き、戸惑ってしまっていた……。
何が悲しかったのか……
切なかったのか……
自分でも理解できていなかった……。
だけど……
もし仮に、私が"博臣先輩を好き"だとしたら……
今までのドキドキやこの涙にも説明がつく……
けど、私は博臣先輩をそんな風に思ってるのかって事を自分では分からない。
確かに神原秋人にはドキドキはしなかった。
けど、博臣先輩にはドキドキはしていた。
ということは、それが"答え"ってことなんだろうか……。
「けど、今更……こんな気持ちに気付いたって手遅れだよ……」
(博臣先輩は私の傍から離れてしまったんだから……)
それに、私はどうしたって博臣先輩の実の妹である美月ちゃんには勝てはしないんだ……。
だから……
「うぅっ……ぐすん……」
そう思うと頬に涙が伝った。
(こんなことになるなら素直に博臣先輩とコミュニケーションを取っていれば良かった……)
今更、そう思っても遅い。
だって、博臣先輩は私から……
『俺はもう、お前に近づくのはやめるから安心しろ』
離れって行ったんだもん……。