第9章 そうだ、神原秋人も変態だったんだ……。
私は何で勢いであんなことを言っちゃったんだろう……
最悪な展開になってしまったじゃない……。
「美月に"兄貴"って呼ばれるのとはまた違った感じでいいな……」
さっきから博臣先輩はそんなことをブツブツと言っていた。
その表情の先輩に私は背筋を震わせた。
なんだか悪寒が、なにこれ。
「というか、美月って誰ですか……?」
私は疑問に思い、呟いた。
すると神原秋人から答えが返ってきた。
「あぁ、博臣の妹の名瀬 美月だ。 美月も僕達と同じ文芸部員で……可愛くて眼鏡を掛たらもっと可愛くなって美人で……要するに眼鏡を掛けた妹キャラって最高だよってことかなっ‼︎」
「…………」
誰もそこまで聞いてないんですけど……
というか、神原秋人も変態だったことを忘れてた。
あぁ、神原秋人の言葉を聞いてまたゾッとしてしまった。
(それにしても、名瀬 美月ちゃんか……私まだ会ったことないけど……どんな感じの子なんだろ……?)
そんなことを思いながらチラッと博臣先輩のほうを見てみる。
うん、顔立ちは悪くはない……
だとしたら、美月ちゃんは神原秋人が言うように可愛くて美人なのかもしれない。
(博臣先輩だって、あの変態さがなければ私の好みのタイプなのになぁ……)
そんなことを思いながらもう一度、博臣先輩を見たあとに神原秋人に目を向ける。
すると二人ともそれぞれに『妹属性がどうこう』とか、『眼鏡女子がどうこう』とかってブツブツと呟いていた。
(やっぱり、この二人……変態だ……)
そんなことを思いながらため息を吐いた。